症例報告:風邪の後でニオイを感じなくなってしまった

先日、同じ症状をもった二人が来院しました。

 

1週間以上続く風邪の後、味とニオイを感じなくなってしまったというもの。

二人とも女性で、共に知り合いということもあって、続けて診る機会がありました。

 

結果的には嗅覚障害を生じており、それが味覚障害につながったものと結論づけることができた症例です。

 

味覚障害というのは基本的には"亜鉛"の不足により生じる機会が多いのですが、今回の患者さんらではこの問題は持っていませんでした。が、最終的には亜鉛の摂取も勧めました。

 

いくつかの検査の後、一人の人は右側の嗅覚を感じておらず、もう一人は両方の鼻から吸い込んだニオイを感知することができない方でした。

 

嗅覚は嗅神経というニオイを感知する神経が鼻に存在していますが、非常に細く、脆いために交通事故後に嗅神経が切れてしまい、ニオイを全く感じなくなるケースもあります。

 

今回のケースでは、風邪の後にニオイと味を感知しないということで、本人たちも「風邪が治れば自然と味覚も嗅覚も戻ってくるだろう。」と考えていました。ところが、1ヶ月経ち、2か月経ち。春に風邪を引いたものの約半年の間ニオイと味が戻ってくることがありませんでした。

 

僕は検査を繰り返しながら慎重に施術をしていきました。

この二人の患者さんは、施術を進めるにしたがって、ニオイを感知しはじめていき、30分程度の施術の後には嗅覚は約70%戻ってきていました。

 

1人の人は1回目の施術の後、1週間後に再び来院。

その際には、ニオイと味を感知し始めていることを述べていました。嗅覚が戻ってくると同時に味覚を感じる幅も徐々に広がってきたのです。最初は甘い、辛い(スパイシー)という感覚が戻ってきて、その後は苦味やうまみについても感知できてきていると話していました。

 

 

一方、両方の嗅覚が消失している方では、検査を繰り返していくと、左側の方がより嗅覚を感知できない状態であることがわかりました。施術も慎重に進めていくと、この患者さんにおいても1回の施術の中でニオイを感知することができるようになってきました。しかし、程度が悪いせいか"ニオイがする"というのは感知できるものの、"何のニオイかわからない"という状態になっていました。

 

 

1回目の施術後、両方の鼻でニオイを感知することができるようになっていました。

2回目の施術はまだ行っていませんが、カイロプラクティックが神経系の不調、問題に影響を与えていることをとても明確に示してくれた面白い症状でした。