症例報告:陸上選手の膝裏の痛み

学生アスリートの多くは様々な難解な問題を訴えてやってきます。その多くは2週間以上続く痛み。つまり慢性痛に悩んでやってくるケースが多いです。

 

数ある学生アスリートの症例の中の一つ。

陸上選手、運動時の膝裏の痛みを訴える学生がいました。

 

運動時以外に痛みはありません。日常生活上は問題なく、痛みの再現性も低いケースでした。

様々な療法に通っていたそうですが、痛みの再現性が低いために痛みの増減は運動時にしか確認できませんでした。そのために、難解なケースとなっており、悩んでいました。

 

運動ができなくなるほどの痛みがトレーニング時にはあるのに、休息を取ることで、疼痛は一気に減少し、日常生活には問題がなくなる。両親やコーチ、本人にとっても厄介な症状でした。

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話を聞いた際に、筋肉の疲労性の痛みのようでそれとは異なることがわかりました。様々な医療機関、鍼灸あるいは休息期間を設けるといったことを行っても一向に変化がないことがそれを裏付けるものです。

 

患者の分析は様々な方面から行いました。

姿勢の崩れ、様々な関節の動き、反射活動、筋肉の張り、神経学的な検査等々。しかし、膝に関する部位の検査はほとんど問題視せずにいました。膝そのものに原因がないだろうと推測できたからです。

 

多くの場合に学生(特に小中学生)の膝周辺の痛みは医療機関は除いて、成長痛オスグットシュラッター病などを指摘されやすいですが、今回の問題はそれとはまったく異なるものでしたし、膝そのものは特に目立った検査上の異常や左右差がみあたりませんでした。もちろん、他の様々な要素についても検討し、カイロプラクティックが適応されるか否か確認しました。

 

結果的には一番、問題の指標となったのは、足を持ち上げた際に約80度以上股関節が拳上すると、痛みを感じていることでした。2回の施術の後にその痛みは大幅に減少して、股関節は90度以上拳上することができるようになっていました。

 

運動を行ってもらうと以前とは異なって運動時の痛みは減少していました。

4回目の施術の際には8割以上の力で走らない限りは問題がありませんでした。当初、アスファルトやコンクリートなどの硬い場所で走ることで痛みが出るのではないかと本人や家族は感じていましたが、それとの関連性は少ないようでしたし、8割未満程度の力ではどんな場所でも走って影響がないようでした。

 

この患者の原因は様々な要素があって、明言できませんが、複雑に絡み合った原因(過去の外傷や顎、月経に関する問題等)が症状を複雑にし、痛みを表していた興味深い例でした。

 

島根県は全般的にすべての競技人口が少ないですが、反面コーチやトレーニングにおける情報も少ないです。様々な怪我を抱える学生アスリートは多数いますが、それは都会と比較しても難しい問題が多々あるでしょう。

 

Wakatsuki Chiropractic Office

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